ダイヤモンドには大きく分けて、2種類のダイヤモンドが存在します。
1つめは、天然のダイヤモンド。
2つめは、人工(合成)ダイヤモンド。
用途は、宝飾用と工業用と異なりますが、どちらも炭素で構成され、結晶構造にも違いはありません。
では、天然ダイヤモンドと、人工(合成)ダイヤモンドにはどのような違いがあるのでしょうか。
1.はじめに
美しい輝きで世の女性を魅了し続ける「ダイヤモンド」。自然界でもっとも硬い鉱物とされるダイヤモンドは、「永遠の絆」や「不屈」の石言葉に、古くから宝石として重宝されてきました。ダイヤモンド=希少、宝石のイメージが強いですが、ダイヤモンドはその硬さを活かし、カッターや、レコード針、研磨剤として工業用としても用いられてきました。
宝飾ダイヤと工業用ダイヤ、全く別の顔を持つダイヤモンドですが、その価格は全く異なります。
…一体何故でしょうか。そこには、使用されるダイヤモンド「天然ダイヤモンド」と「人工(合成)ダイヤモンド」という、材料となるそもそものダイヤモンドが生成されるプロセスに違いがありました。
2.天然ダイヤモンドとは
文字通り、自然がつくりだすダイヤモンドです。地中の奥底(約140~200km下)で数億年の年月をかけて生成されます。しかし、人間が掘り進められる深さの限外は約15km。到底ダイヤモンドを掘り起こすことはできません。私たちは、「キンバリーライト」という、限られた地域から噴出する溶火山として地表に現れたものだけをダイヤモンドとして採掘することができるのです。ダイヤモンドを1カラット採掘するためには、約4tの原石が必要とされています。さらに、その中から法章句用のダイヤモンドとして使用されるのは約10~20%、残りは工業用とされて使用されます。
天然ダイヤモンドの希少さ、価値、美しさは誰もが納得のものですが、採掘の裏側には多くの問題がありました。採掘場での子供の労働や強制労働。また、ダイヤモンドの取引が紛争に伴う武器をの資金調達となることも多々あると言います。更に、採掘における環境破壊などの問題もあり、ダイヤモンド採掘に関する議論は続いています。
3.人工(合成)ダイヤモンドとは
そこで天然ダイヤモンドに代わり、人工的につくりだされたダイヤモンドが、
人工(合成)ダイヤモンドです。
人工(合成)ダイヤモンドは、科学技術により人工的につくりだされるダイヤモンドです。合成法や使用目的によって異なりますが、その特性は天然ダイヤモンドと大差ありません。人工(合成)ダイヤモンドは自然からこそ採掘はされませんが、偽物ではなく「本物」です。更に言うならば、硬度や導電性も人工的に設定してつくることができるため、天然ダイヤモンドよりも優れたダイヤモンドを生み出すことが可能です。
4.人工(合成)ダイヤモンドの誕生
人工(合成)ダイヤモンドは、1953年に「HPHT(高温高圧処理:high-pressure high-temperature)」と「CVD(化学気相蒸着:chemical vapor deposition)」というダイヤモンド合成法によって誕生しました。人工(合成)ダイヤモンドが世に出はじめた頃、製造の費用や品質に問題が多く、天然ダイヤモンドには到底及びませんでした。しかし、近年の急速な技術進化で、生産コストは天然ダイヤモンドの半分、生成の時間は天然ダイヤモンドが数億年かかるところ、なんと約2週間で生成できるようになりました。
5.人工(合成)ダイヤモンドの使用目的
これまで工業用のダイヤモンドとして主に使用されてきた、人工(合成)ダイヤモンドですが、近年、宝飾用としてスポットライトを浴びることになりました。天然ダイヤモンドと比べてみても、炭素から生成された本物のダイヤモンドということに加え、見た目や特性にも差がなく、さらに天然石特有の不純物もない人工(合成)ダイヤモンド。近年では、宝飾ダイヤモンドンとしての人工(合成)ダイヤモンドの市場も存在します。しかし反対に、天然ダイヤモンド市場に、内密で人工(合成)ダイヤモンドが紛れている可能性も危惧され、人工(合成)ダイヤモンドが、天然ダイヤモンド市場に与える影響は大きいとされています。
6.ダイヤモンドの価値
こうした中で、天然ダイヤモンドと人工(合成)ダイヤモンドを見分ける鑑定がとても重要視されています。現在、人工(合成)ダイヤモンドの価格は天然ダイヤモンドの1/10ほど。何千年もの時をかけて自然に生成されたもの、原料・輝きは全く同じだけれど、人の手でつくられたもの。時代と共にダイヤモンドの価値、あり方は今後ますます変化していくことになるでしょう。
参照
DIAMOND-EXPERIENCE.COM
https://www.diamond-experience.com/diamond3.htm
日本経済新聞
「合成ダイヤ、天然品と混在も」
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ19H2E_S5A021C1000000/
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