あなたにもできるかも??廃材集めてダイヤモンドのブリリアントカット(58面体)に挑戦してみた。① ―――ブルーティング編
ブリリアントカット⁽¹⁾に挑戦中のテクダイヤ!
順調に進行中です。
今回は「ブルーティング」と呼ばれる工程について。
ダイヤモンドには大きく三つの部分の名称(クラウン・ガードル・パビリオン)があります。
今回はダイヤの細い境界線のような部分、ガードル(Girdle)の研磨をおこないます。
※下図、赤丸部
この時の荒削りの工程を、ブルーティングと呼ぶそうです。
いかに真円(真ん丸)に近く加工できるかがポイント!
さて、ダイヤモンドはこの世で1番固い鉱物ですが、
何を使って研磨するかご存知ですか?!!
正解は…ダイヤモンド!
お互いを摩擦することで削っていきます。
削る方のダイヤも、削られる方のダイヤも同じ位摩耗⁽²⁾します。
(もったいない…)
ここでおさらいですが…今回の挑戦、(鬼)社長からの指令は、
①お金をかけずにブリリアントカットを成功させること!
②極小ダイヤを加工すること!
・・・でした。
まず、お金をかけないので専用工具は購入できません。
社内からでた廃材で工具からつくります。
そんなことできるの(?)と半信半疑だった私。
・・・・・・できてる。
このベルト以外全部廃材から!
本の見よう見まねでつくったそう。スゴ技!!!
緑のテープから手作り感をぷんぷん感じます。
そして、今回使用する極小ダイヤはこちら。
オクタヘドロンと呼ばれる八面体のダイヤの原石です。
(サイズ:全長2.1mm、幅:1.6mm x 1.6mm)
この極小ダイヤを外周φ1.5mmへと研磨していきます。
ブルーティングの注意点は3つ。
①ダイヤを飛ばさないこと ②ダイヤの固定方法 ③決して焦らないこと
注意点① ダイヤを飛ばさないこと
ピンセットでダイヤをつかむときは、必ず手を添え慎重すぎるほど慎重に。
こんな小さなダイヤ、飛ばしたらなかなか見つかりません。
以前飛ばし、部屋中をモップかけしてなんとかゴミ中から原石発見したとか。(笑)
注意点② ダイヤ原石の固定方法
ダイヤモンド原石が研磨中に飛ばないよう、
ダイヤモンドの挟み込みも溝を掘ってしっかりと固定しています。
それでは廃材でつくったお手製研磨機を回転させ、
ダイヤ工具をダイヤ原石に当てて円ブルーティングに挑戦。
手前のダイヤ工具はテクダイヤの製品「ダイヤモンドスクライバー⁽³⁾」のNG品を使用します。
注意点③ 決して焦らないこと
ダイヤは固いですが、靱性⁽⁴⁾が極めて低くとても脆いので扱い辛いのです。
強く工具を押し当ててしまうと、すぐにひび割れてしまいます。
目には見えない、マイクロクラック⁽⁵⁾と呼ばれる傷さえも、58面研磨する間に
熱などの影響からひびが入ったり、割れる原因にもつながります。
だからこそ、ゆっくりゆっくり慎重に!!
ものづくりでは五感が大切と言いますが、今回は特に耳が大切。
音を聞いて、強く削りすぎていないかどのくらいの強さで削るかを感じるそう。
120分ほどの地味な作業だからこそ、機械の操作ミスが起こりやすい。
もっと早く削ってやろう。なんて思ったら負け。
こまめに休憩をはさみ、落ち着いて、冷静に、コツコツ研磨することが1番。
研磨中、ダイヤの原石が飛ばないかとヒヤヒヤしましたが
何とかブルーティング工程を終えることができました。(汗)
次回は4面ブロッキング工程にチャレンジします!
ここまで進む予定!!
乞ご期待☆(続く)
用語集
Brilliantとはブリリアントカットは、ダイヤモンドなどの研磨方式であるラウンドブリリアント・カットや、マーキーズ・ブリリアントカットなどの総称。ダイヤモンドの反射・屈折率といった光学的特性を数学的に考慮して最も美しく輝く型を理論的に見いだし、各切子面(ファセット)の形状や角度を算出した。別名、アイデアルカット。いくつかの種類があるが、すべて58面体(下面の面取り(キューレット)をしない場合は57面体)で、上部から進入した光が全て内部で全反射して上部から放たれ、ダイヤモンドの輝きをきわだたせるように設計されている。最も有名なのは、丸形のラウンド・ブリリアンカット。
(2)摩耗
《名・ス自》他のものにすられて、減ること。すりへること。
(3)ダイヤモンドスクライバー
テクダイヤ独自の工法によるダイヤモンド ・ スクライブツール。
http://www.tecdia.com/jp/products/diamond/scribe_selection.php
(4)靱性
靱性(じんせい、英語:toughness)とは、物質の脆性破壊に対する抵抗の程度、あるいはき裂による強度低下に対する抵抗の程度のことで、端的には破壊に対する感受性や抵抗を意味する。 材料の粘り強さとも言い換えられる。
(5)マイクロクラック
肉眼での確認が困難な細かなひび割れ・亀裂のこと。