電子機器の評価とうっかりミスの話

実験室に篭って、時間の過ぎるのも忘れて、製品の開発に没頭することがあります。
そんなときにやりがちな、実験をする上での注意点を記載します。

電子機器や通信機などを評価するときに、部品を交換したり回路定数を調整したりすることがあります。その際、ついうっかりして、通電している部品にハンダゴテをあててしまうことはないでしょうか。

電子機器に使用される電子部品は、静電気に弱いものが多く、その対策として、コテ先が接地されているハンダゴテを使用するケースが多いと思います。この場合ですと、回路をショートさせてしまうので、部品を焼損させてしまう可能性があります。

 

マイクロ波のパワーアンプの調整などでこれをやってしまうと、1個で5万円もする高価なGaAs FETを一瞬で壊してしまいます。(過去に何個か…)

ところで、電子部品のカタログには絶対最大定格というものが記載されており、一瞬たりともその規格を超えてはならないものと定義されています。もっとも、一瞬とはいっても半導体の応答速度は人間よりもはるかに速いので、半導体にとっては一瞬どころではない長時間の過負荷がかかっていることになり、永久的なダメージを与えてしまいます。

 

また、見逃しやすい不具合としては抵抗の焼損があります。抵抗値が完全にオープンになってしまえば発見できるのでまだよいのですが、条件によっては中途半端な抵抗値でかろうじて生き残っていることがあり、この場合、回路が通常動作してしまうことがあります。当然、信頼性に大きく影響してしまいますので、このような不具合は見逃してはなりません。

 

下の写真はショートにより焼損したチップ抵抗(2125サイズ)です。

焼損

5R1のRの脇に丸く傷のようになっているものが見えるでしょうか。これは抵抗をショートさせた際に、火が噴き出してそのときにできた噴火口のようなものです。実際に顕微鏡で見ながらショートさせると火山の噴火を真上から見ているように、火が噴き出すのを観察できます。(知らずにやると、結構、驚く位の火が出ます)

しかしながら、ショートさせたという自覚にプラスしてこういった経験がないと、コーティングの欠損と間違って判断してしまうケースもあるようです。

 

抵抗の過負荷試験をしますと、定格電力に対して数倍の過負荷をかけて抵抗体が真っ赤になったとしても、なかなか完全には焼損しないものです。だからといって過負荷は寿命や特性に明らかに悪影響を与えるので、注意しなければなりません。

 

(これは実験室での開発段階における話であり、量産製品の品質には影響ございません)

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