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在庫管理における発注点(ROP)の計算方法とは

在庫管理における発注点(ROP)の計算方法とは
製造業では数多くの部材(材料・部品・薬品など)を毎日使用ます。どれか一つでも欠品を起こしてしまうと生産が止まり、お客様に多大なご迷惑をおかけすることになります。そこで今回は海外工場にて生産管理の責任者として働く私から、部材の欠品を防ぐための「在庫管理手法」を紹介したいと思います。

発注点(ROP)とは、在庫がある一定量に達したときの事。

英語ではRe-Order Point(ROP)と呼ばれる、統計的在庫管理手法の一つです。

 

普段生活をしていく中で繰り返し使われている日用品ってありますよね?

例えばシャンプーや歯磨き粉、トイレットペーパーなど他にもたくさんあります。

日用品の中には毎日使うものもあれば、定期的にしか使わないものもあり、

使用量もバラバラで異なります。日用品はいずれは使い切って無くなるので、

大抵の方は使い切る前や予備を使った時点で購入しているかと思います。

実際に私もそのようにしています。

 

日用品に関しては、無くなってからでも最寄りのスーパーやコンビニ、

最近ではネット販売でも必要な時に容易に購入することが出来ますが、

製造業で使用する部材(材料・部品・薬品など)の購入は話が違ってきます。

 

製造業でも同じく毎日使うものや定期的に使う様々な部材があります。

部材毎に調達期間も異なり、また当社工場は海外(セブ島)にあるので

輸入しないといけない部材もあり、すぐに手に入れる事が出来ません。

 

…もし欠品を起こしてしまうと、生産活動に支障が出て

納期が遅れてお客様にご迷惑をかけてしまいます。

 

そこでこの欠品を防ぐために各部材の在庫が、

ある一定量に達したときに発注(購入)を行います。

その在庫がある一定量に達したときの事が「発注点(ROP)」です。

発注点(ROP)の計算方法は以下となります。

■発注点(ROP)の計算方法

発注点(ROP)の計算方法は、

発注点(ROP)=1日当たりの平均使用量×調達期間+安全在庫量


 

(例)部材A

  • 1日当たり平均使用量:10個

  • 調達時間:7日

  • 安全在庫量:4個


 

1日あたりの平均使用量(10個)×調達期間(7日)+安全在庫(4個)=74個

発注点(ROP)は74個となり、在庫が74個に達した時点で発注(購入)します。

 

安全在庫量とは、需要変動などによって欠品を防ぐための在庫量を指し、

一般的な計算方法は以下となります。

■安全在庫量の計算方法

安全在庫量の計算方法は、

安全在庫量=安全係数×使用量の標準偏差×平方根(調達期間+発注間隔)


 

安全係数とは、以下の表の通りに決まった一般的な値があり

欠品をどれくらい許容するかを数字化したものです。

欠品許容率5%というのは100回のうち5回は欠品が起こることを許容しています。

安全係数はエクセル関数のNORMSINV(1-欠品許容率)で計算出来ます。

図4

 

使用量の標準偏差とは、部材Aの使用量のばらつきを表す数値す。

数値が大きくなるほど、ばらつきが大きいことになります。

標準偏差はエクセル関数のSTDEVで計算できます。

図2

 

平方根(調達期間+発注間隔)とは、部材Aの調達期間が7日、

発注間隔については定期的な発注ではないので(発注点で発注)、

発注間隔は0日となり合計は7日となります。(√7=2.646)

仮に1週間に1回発注する場合は発注間隔が7日となり、

調達期間7日+発注間隔7日で合計14日となります。(√14=3.742)

 

安全係数5%を使用した場合は、

安全在庫=安全係数5%(1.645)×使用量の標準偏差(0.707)×√7(2.646)=3.077

したがって、安全在庫量は小数点を繰り上げた4個となります。

■発注点(ROP)のまとめ

実際の在庫管理の運用では、発注点(ROP)を設定したからと言って安心してはいけません。

発注点(ROP)は、特に需要変動(需要予測含む)による使用量の変化で大きく影響を受けるため、

受注量が下がれば在庫過多になり、逆に突発的な需要は欠品を招く恐れがあるのです。

 

つまり、生産管理を行う私たちはマーケットの動向を常に気にかけながら、

営業と密なコミュニケーションを取り、

発注点(ROP)の見直しを適時行う事が非常に重要です。

 

また安全在庫量については、

上記の計算を行い過剰在庫になっていないかどうか

実情(需要数や使用量)をよく確認し、運用していく必要があります。