よく論文やレポートで見かける「有意差」。
本当にそのデータに、有意差はあるの?と有意差なしの話。
本当にそのデータに、有意差はあるの?と有意差なしの話。
実験レポートなどをレビューしていて、よく指摘することに、「有意な差があった」「有意な効果があった」などの表現があります。
有意差とは、そもそも統計学の用語の一つで、統計的有意差検定を行わず、「有意に」や「有意差がある」ということは不適切です。その他に、比較するものが正しい比較対象になっているか、母数は十分かなども考慮する必要があります。そのため、単に見た目の数字に差があるからと言って、安易に「有意に」という表現をしてしまうと、誤った解釈をしてしまう恐れがあります。すなわち、結果に差が出たとき、その差が「誤差の範囲内」なのか「誤差では済まされない意味のある差」なのかを、本来であれば統計的に明らかにする必要があります。ただし、医薬品の効能を確認や、学術論文や学会発表を主眼としているわけではないので、時間や手間の加減から、データのバラツキや差の大小を比較して、感覚的に差の有無を判断してしまうことが多いのが事実です。
よって、統計的な検討を行っていないのに、「有意に」という表現は使うべきではなく、部下には削除するように求めます。また、データやレポートをレビューし判断する側としては、「誤差の範囲かもしれない」と頭に置いて、次のアクションや実験プランを考える必要があります。