3Hって何?

テクダイヤの社長室はガラス張り

テクダイヤの社長室はガラス張り
テクダイヤの社長室はガラス張りである。それが素敵なことだと思ったので文章にしました。

風は通らないけれど、風通しのよいガラスの部屋

テクダイヤのオフィスにある社長およびマネージャーの部屋は、ガラスの透明な壁によって、その空間を区切られている。社長が何をしているか、どんな表情をしているか、一目でわかる。テクダイヤの風通しのよい風土を象徴したオフィスの設計になっており、それによって社員たちが社長やマネージャーに話しかける心理的ハードルは下がっていると思う。

ガラスは、見えないものを見えないままで見えるようにしてくれる

ガラスは透明である。透明である、とは向こう側が見えるということである。私たちが感じることのできる波長の光を遮らず、私たちの瞳まで届けてくれる。

たとえば、透明という点では空気も同様だろう。しかし、原始の人々が空気とガラスに直面したとして、そこで空気の存在に気付くことの難しさに比べて、ガラスの存在に気付くのは容易であるように思う。空気と違って、ガラスはそこにあるとわかる。第一にそこには微かな不純物と光の反射がある。そしてそれ以上に、ガラスは光以外のあらゆるものを阻む。音、匂い、何より物理的に私たちの侵入を阻む。

テクダイヤのオフィスは、そこに白く分厚い壁を立てることによって、社長やマネージャーと他の社員との間に存在する不可視の権力構造を可視で定的なものとして捏造するのでなく、透明なガラスを設置することで、不可視である権力場それ自体を可視化してみせる。見えないものを見えないままで見えるようにしてくれる。

そこには確かに壁があるが、しかしそれは透明なのである。

ガラスはアモルファス

ガラスはアモルファスという構造をしている。アモルファス Amorphous は不定形を意味するギリシャ語で、周期的な分子配列をとらない、まるで液体のような固体のことを指し示す言葉である。

アモルファスと結晶

では、アモルファスと異なり、周期的な分子配列をとるものは何だろう。それは結晶である。結晶において、分子たちは学校の教室の座席のように規則正しい配置に収まっている。対して、アモルファスにおいては、テクダイヤオフィスのフリー席のように、分子たちはランダムに思い思いの場所を占めている。アモルファスは配列に周期性がなく、でたらめであるが故に均質で等方的である。結晶には格子欠陥のような「弱い」構造が存在するが、アモルファスにはそれが存在しない。なぜならそもそも結晶のような完全さを志向していないからである。

ガラスの瑞々しさ、それは

テクダイヤの社長室やその他の会議室、実験室を囲むガラスの、液体がそのまま動きを止めたような瑞々しさこそが、テクダイヤのまとう新鮮な雰囲気に他ならないのだと思う。そしてそれは周期的な構造をとらないゆえに力強い。