絶縁抵抗測定とは電流が規定値以上流れないかを確認する測定で、測定対象に電圧Vを印加し、このときに測定対象に流れる漏れ電流Iと印加電圧Vを測定し、(印加した電圧V)/(漏れ電流I)から求められます。
絶縁抵抗測定異常値対策について

絶縁抵抗測定異常値対策、漏れ電流対策のため絶縁性の高い材料を治具や設備に使用し、心線をできるだけむき出しにしないことが測定値の安定につながる
1.測定値の異常については2種類あり
測定値が想定値よりも低い場合と測定値がばらつく・安定しない
2.測定値が想定値よりも低い場合
測定対象を流れる電流と測定対象以外に流れる電流(漏れ電流)があり、R=V/IのIが増えるため抵抗値が小さくなる、絶縁が悪い部分からの電流漏れを小さくする
- 治具などの測定対象以外からの漏れ電流
- 測定ケーブルの絶縁性が悪い
- 測定対象が汚れている、湿度が高い
- リレーの耐圧や絶縁抵抗が低い
3.測定値が想定値よりも低い場合の対策
- そもそも不要な電流を出さない
- 出たらグランドに流す
3-1. 不要な電流を出さないために高絶縁材で治具を作り、治具の抵抗がワークよりも高くする。
- 延長ケーブルを使用している場合、ケーブルは高絶縁材料を使う
- 治具やワークの汚れ除去
- リレーを使用する場合はその高絶縁性のものを使用する
- 絶縁テープを使用している場合の絶縁抵抗は10^3~10^6(=1kΩ~1MΩ)程が多いので絶縁テープから漏れた電流値でワークに流れた電流値が埋もれてしまう。
設備に使用されている材質の絶縁抵抗値に注視して設備構築を行っていくことが必要
3-2. 不要な電流を電流計に流さない
治具の漏れは筐体やシャシーの接地、ワークが支えられている部分を接地につなぐ
⇒接地の抵抗値の方が低い
⇒余分な漏れ電流が流れていく
- ワークについた汚れからの漏れ電流を除去
- リレーなどを使用する場合はガード付きのリレーを使用し、ガードを接地に落とす。
4.測定値がばらつく・安定しない
- 電流値がばらついている
0.1uA~0.2uA間で電流がばらつけば5GΩ~10GΩ間で抵抗値がばらつくことになる
- 容量値結合によって高周波ノイズが乗っている
金属間に挟まれたものが全てコンデンサとなる(モニターや蛍光灯など)
小さな影響だが絶縁抵抗測定では大きな問題となる
5.対策(ケーブルの作りこみ)
電流計への接続ケーブルの作りこみ→シールド線を使用し心線をむき出しにしない
ワークを金属の箱で覆う
優先は心線をむき出しにしない事
6.まとめ
ワーク以外の漏れ電流対策のため絶縁性の高い材料を治具や設備に使用し、心線をできるだけむき出しにしないことが測定値の安定につながる