身の回りのさまざまなものに使われているプラスチック。
中でも耐熱性や機械的強度などに優れたエンジニアリングプラスチック(以下、エンプラ)・スーパーエンジニアリングプラスチック(以下スーパーエンプラ)は、自動車のエンジン回りや電子機器、医療機器などに使用され、近年はこれらを3Dプリンティングで製作する企業が増えています。
テクダイヤは、独自工具を駆使した高精度深穴加工により、高精度造形が可能なスーパーエンプラ向け3Dプリンター用ノズルを開発しました。今回は、その開発過程にフォーカスします。
目次
ニーズ:スーパーエンプラ向け3Dプリンター用ノズルの開発
産業用3Dプリンターの開発・販売を行うヨーロッパ企業(以下A社)から、PEEKはじめスーパーエンプラを高精度造形できる、自社プリンター機構に合ったノズルの開発依頼がありました。
従来A社が使用していたのは、ハイフロー重視で材料を溶かすエリアを長くした、全長65㎜のノズル。
加工精度が低く穴曲がりや内面粗さが見られる他、ヘッドとボディを別々に加工し組み合わせているためパイプ内に段差が生じていました。
ソリューション:全長65mmの一体加工と内部30度テーパー
当社はディスペンサーノズルメーカーで、精密な穴あけ・切削加工が得意です。
その技術とノウハウを活かし2021年1月より3Dプリンター用精密ノズル“kaika”を販売開始。3Dプリンターメーカーや3Dプリンティング導入企業の課題を解決するカスタムノズルの開発実績も多数あります。
今回はパイプ内接続部の段差をなくし、流動性を改善するため、全長65mmを一体加工。
全長65mmノズル内部
内部テーパー角度はkaikaノズル同様30度を採用し、さらに流動性を確保しました。
また、ノズル内部の摺動性向上のためコーティング*1を施すことで、PEEKはじめスーパーエンプラもスムーズな吐出が可能になり、造形精度が安定しました。
左:kaika 右:全長65mmノズル
*1 テクダイヤ選定のコーティングを外注
ポイント:独自工具を駆使した高精度深穴加工
JIS規格(JIS B 0106:2016)では、長さと直径の比が4倍以上の穴を「深穴」と定義しています。深穴加工は穴曲がり抑制や高精度内面加工が難しく、高度な技術が求められます。
当社は約40年にわたる精密機械加工実績から、深穴加工ノウハウを確立。
自社工具による切削抵抗低減で、内面粗さ向上と穴曲がりを抑制し、まっすぐで滑らかな深穴加工を実現しました。
さらに、独自工具の開発で深穴30度テーパー加工に成功。穴径比約30倍の高精度深穴ノズルを開発しました。
全長65mmノズル外観
リザルト:現在の状況と効果
従来ノズルでは不可能だった高精度造形を実現。現在開発中の新規プリンタ用ノズル開発の追加依頼もいただきました。
3Dプリンティングに限らず、通信・医療・バイオなど、テクダイヤ製ノズルに切り替えたことでお客様の課題解決に貢献してきた実績が多数あります。お客様の課題や要望に合わせたカスタムノズルの開発は、ぜひテクダイヤにお任せください。
また、2024年1月より、吐出性と耐摩耗性を兼ね備えた3Dプリンター用ノズル「kaikaS」の販売を開始しました。プロユーザー絶賛の真鍮製kaikaノズル形状はそのままに、日本中から選び抜いた硬化技術を工具鋼に凝縮しました。高硬度材料によるノズル摩耗・造形にお困りの際は、ぜひお問い合わせください!
お問い合わせはこちらから
こちらからご購入いただけます。
関連動画・記事