テクダイヤでは、電子部品用の配線として、セラミック基板に金を使った配線を行っています。私は最近、透明な石英ガラスに配線を付ける業務に携わるようになりました。今日は、その過程で直面した大小様々な予想外の出来事についてお話ししたいと思います。
透明と不透明、レーザーの悩み。
目次
1.透明って何?
透明というのは、意識をしないでいますと単に「クリアで綺麗だ」というレベルでしか気に留めないものです。しかし、製造プロセスを考えたときに結構悩ましい問題に直面することがあります。それはレーザー関係です。
レーザーとは、簡単に言えば光です。光というのは目に見えるものでとても身近に感じられますが、実はとても厄介なことが多いです。
透明であるということは、例えば窓ガラスのように、その物体を通して先が見える状態だと思います。これに対して不透明はその物体を通して先が見えない状態だと思います。さて、不透明なものの色を想像してみてください。白い紙のようなものなのか、皆様がお持ちのスマートフォンの何も表示されていない真っ黒なディスプレイのようなものなのか。白いものは可視光を含め、多くの光を反射している状態ですが、これに対して黒いものはその光を反射せず、透過もせず、光を吸収しているといえます。
ここは、少し説明臭い部分になりますが、光を通す、通さないだけでなく、光を吸収するかどうかという点も様々な問題を引き起こしました。
レーザーとは、簡単に言えば光です。光というのは目に見えるものでとても身近に感じられますが、実はとても厄介なことが多いです。
透明であるということは、例えば窓ガラスのように、その物体を通して先が見える状態だと思います。これに対して不透明はその物体を通して先が見えない状態だと思います。さて、不透明なものの色を想像してみてください。白い紙のようなものなのか、皆様がお持ちのスマートフォンの何も表示されていない真っ黒なディスプレイのようなものなのか。白いものは可視光を含め、多くの光を反射している状態ですが、これに対して黒いものはその光を反射せず、透過もせず、光を吸収しているといえます。
ここは、少し説明臭い部分になりますが、光を通す、通さないだけでなく、光を吸収するかどうかという点も様々な問題を引き起こしました。
2.透明はレーザーと相性が悪い
実際に直面した問題を材料ごとに振り返ってみます。
① アルミナ
この材料の問題点はレーザー加工のとき、レーザーの多くのエネルギーを表面で反射してしまうことです。例えばレーザーのエネルギーの50%を反射してしまったら、50%しか加工にエネルギーを使えないということになります。他の材料よりもこの反射が多いのが、アルミナ材の加工の難しさに繋がっているのです。もちろんアルミナはとても硬くて、熱にも強いこともレーザー加工の難しさに繋がっています。
② 石英ガラス
石英ガラスという材料は、判り易く言えば、透明であるために光の多くをそのまま通して(透過して)しまいます。ガラス等の透明な材料は、材料によって透過率が決まっていますが、石英ガラスは90%以上も透過してしまうほどの透明度で、論理的には10%くらいしか加工に使えません。(非常に単純化した説明ですが、考え方として理解して頂くことが目的)。
このような事実から、レーザーによる石英ガラスの加工を加工業者様に依頼したとき、勝手にアルミナの加工と同程度のコストと想像していたのですが、そのような目論見は大きく外れてしまいました。石英ガラスのレーザー加工については、幸い世の中にはこれらの問題点を創意工夫のもとに解決している加工業者様がおり、なんとかなりました。
加工だけが問題かと思いきや、この基板の厚みを測定するのに使用したレーザー変位計が使えない問題も発生しました。レーザー変位計とは、本来なら材料の表面に当たったレーザーの位置から厚みを計算するモノなのですが、材料が透明であり反射も少ないため、材料の表面が認識されず厚みが計算できないという結果に。こちらに関しては、レーザー変位計をやめるか、材料の表面に何か別のもの(金属の薄膜)をつけて、表面を認識できる状態にするしか方法が無かったです。
③ レジスト
似た事象として、レジストといわれる薄い透明膜もレーザーでの測定時に問題が発生しました。この透明膜は黄色~オレンジっぽい透明な膜で、基板にパターニングするときの工程で使用されるものですが、レーザー顕微鏡での測定ができませんでした。人間の目では見えているのに、使用したレーザー顕微鏡のレーザーの波長に対して反射が弱く透過してしまい、正確な位置が確認できない状態でした。異なる波長のレーザーなら見えていたのに、たまたま透過する波長であったが故のミスマッチでした。この事象はセラミックスではないですが、結局根源にある考え方は全く同じでした。
① アルミナ
この材料の問題点はレーザー加工のとき、レーザーの多くのエネルギーを表面で反射してしまうことです。例えばレーザーのエネルギーの50%を反射してしまったら、50%しか加工にエネルギーを使えないということになります。他の材料よりもこの反射が多いのが、アルミナ材の加工の難しさに繋がっているのです。もちろんアルミナはとても硬くて、熱にも強いこともレーザー加工の難しさに繋がっています。
② 石英ガラス
石英ガラスという材料は、判り易く言えば、透明であるために光の多くをそのまま通して(透過して)しまいます。ガラス等の透明な材料は、材料によって透過率が決まっていますが、石英ガラスは90%以上も透過してしまうほどの透明度で、論理的には10%くらいしか加工に使えません。(非常に単純化した説明ですが、考え方として理解して頂くことが目的)。
このような事実から、レーザーによる石英ガラスの加工を加工業者様に依頼したとき、勝手にアルミナの加工と同程度のコストと想像していたのですが、そのような目論見は大きく外れてしまいました。石英ガラスのレーザー加工については、幸い世の中にはこれらの問題点を創意工夫のもとに解決している加工業者様がおり、なんとかなりました。
加工だけが問題かと思いきや、この基板の厚みを測定するのに使用したレーザー変位計が使えない問題も発生しました。レーザー変位計とは、本来なら材料の表面に当たったレーザーの位置から厚みを計算するモノなのですが、材料が透明であり反射も少ないため、材料の表面が認識されず厚みが計算できないという結果に。こちらに関しては、レーザー変位計をやめるか、材料の表面に何か別のもの(金属の薄膜)をつけて、表面を認識できる状態にするしか方法が無かったです。
③ レジスト
似た事象として、レジストといわれる薄い透明膜もレーザーでの測定時に問題が発生しました。この透明膜は黄色~オレンジっぽい透明な膜で、基板にパターニングするときの工程で使用されるものですが、レーザー顕微鏡での測定ができませんでした。人間の目では見えているのに、使用したレーザー顕微鏡のレーザーの波長に対して反射が弱く透過してしまい、正確な位置が確認できない状態でした。異なる波長のレーザーなら見えていたのに、たまたま透過する波長であったが故のミスマッチでした。この事象はセラミックスではないですが、結局根源にある考え方は全く同じでした。
3.経験を次に
技術者として、失敗の原因と今度の対策を考えてしまいます。方法が合わなければ、他の方法を探せば良いということになるだけですので難しい話ではないです。ただ、いつまでも似たような課題でトライアル・アンド・エラーを続けるのはスマートでは無いし、時間ももったいない。レーザー関係(または光学関係)が絡んでくるなら、上記の様な事象は経験談として知っておいて、予測と対策に繋げていただければと思っています。
4.さいごに
最後に、ここ数年話題に上がることが増えた、非常に黒い材料/塗料の話をします。光を99.9%吸収するようで、暗黒シートと呼ばれ、黒過ぎて塗ったものの形が判らなくなってしまうというものです。これは、レーザーと相性が悪そうだと思いました。きっとこの表面の形状をレーザーで測定するのはかなり難しいと予測していますが、実際はどうなのでしょうか。頭の体操にちょっと考えてみようかと思いました。