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海外社員を来日させるときの注意点(税)

海外社員を来日させるときの注意点(税)
弊社はセブに工場、中国・台湾・韓国・アメリカに販社、その他欧米にホームオフィスを持つ日本企業です。
最近、海外社員に来日してもらい日本の本社で研修を行う機会がありました。

その際に源泉所得税に関していくつか見落としそうになった注意点があったので
ブログとして書き残し、読んでいる皆様の手助けが少しでもできればと思います。

居住者とは?

日本居住者の定義は、国税庁HPにより下記のように定められています。

「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。

国税庁.”No.2875 居住者と非居住者の区分”.令和3年9月1日現在法令等.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm#:~:text=%E5%9B%BD%E5%86%85%E6%B3%95%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%8F%96%E6%89%B1%E3%81%84,%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82, (参照 2022-06-09)

海外社員が1年以上の長期にわたり来日研修をする場合は、「居住者」扱いになりますが
3か月などの短期の来日研修では「非居住者」にあたります。

居住者と非居住者の税の違い

居住者に対して給与を支払う場合、国内勤務によって発生する給与でも国外勤務に発生する給与でも
源泉徴収が必要となり、その税率は「源泉徴収税額表」を見ながら計算を行います。

令和4年 源泉徴収税額表


非居住者に対して給与を支払う場合、国内勤務によって発生する給与か、国外勤務に発生する給与かで税の取り扱いが変わってきます。
国内勤務に対しての給与支払いの場合は源泉徴収が必要で、その税率は20.42%です。
一方、国外国内勤務に対しての給与支払いの場合は源泉徴収が不要となります。

つまり、来日研修の間に給与を支払う際は、基本的に源泉徴収が必要で
1年以上の来日研修の場合は、税額は源泉徴収税額表を見ながら算出(手取りや扶養親族等の人数によって変わります)
1年未満の来日研修の場合は、税額20.42%となります。

租税条約とは?

来日研修の税の取り扱いは前章のとおりですが、それは日本の税法の話です。

もし、日本と似たようなの税法が来日研修者の居住国Aにもあり、来日研修期間が1年未満の場合
その来日研修者へは、日本で20.42%課税され、A国でも課税されることになります。

そういった二重課税の排除や軽減・脱税の防止を目的に、国と国とで「租税条約」という条約を結んでいることがあります。
その国と国との間で、どちらの居住国とするのか、源泉所得国での課税は何%にするのかなどの項目が定められています。

日本は140を超える国や地域と租税条約を結んでおり、
条約の内容や来日研修の期間や条件などによっては日本での課税が軽減・免除ができるため
来日研修者の居住国と日本の租税条約が結ばれているか、まず調べてみることが大切です。

 

最後に

実際、筆者も調査をしていくなかで、国税庁の居住国の定義を見て「『国内に住所を有し』ってどういうこと?社員寮は有していることになるの?」
「『居所を有する』ってなに?」といったふうに次から次に分からないことが出てきて
調べて出てきたものをまた調べて…状態だったため、早くに顧問税理士の先生にご相談することをお勧めします。

また、税理士の先生でも海外の税法は詳しくないので分かりません、という方もいらっしゃるため
そういったときは近くの税務署に相談するか、海外税法に強い税理士の先生にご相談したほうが安心です。

この記事が筆者のように「右も左も分からない!」という方に届き、少しでもお助けになれていたら幸いです。
お読みいただきありがとうございました!