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製造業でとっても重要な指標 “歩留まり” について

製造業でとっても重要な指標 “歩留まり” について
「歩留まり」・・・この用語をご存じの方も多いかと思いますが、聞き慣れなかったり、 初めて耳にする方もおられるのでは・・・。 ちょこっとお話しちゃいます「歩留まり」うんちく(蘊蓄)! 宜しければおつき合い下さい!

「歩留まり」の語源って何かな❔

「歩留まり (ぶどまり) 」* 英語では “yield”

 

「歩」・・・歩く? 「留」・・・留まる?

何だか意味が分からないので・・・少々調べることにしましょう。

 

「歩」には、二つの読み方があります。

「歩 (ほ)」:歩く,物事の進行

「歩 (ぶ)」:土地の面積,利息の割合,歩合

 

これから考えると、「歩留まり」の「歩」は「ぶ」と読むことから

割合や歩合という意味が込められていることになります。

とするならば、全体を占める割合、または出来高などを表す歩合が

「歩留まり」の語源に由来しそうです。

 

更に調べて見ると・・・歩合には、何か一つのことに於いてどれ位

出来たか、成果が上がったのかを指し示す意味合いがあります。

 

そうです!

これに「留まる」を繋げた言葉、「歩留まり」は・・・

どれ位出来て、どの程度に留まったのかを表す言葉になります。

 

単位としては、割合や出来高を表すものとして “%” が使用され、

特に半導体工場に於ける製造工程の管理に使われていますね。

他の分野で使われることは、勿論ありますが、やはり半導体系

に携わる工場の管理用語として使われることが、多いです!

 

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「歩留まり」はどうして重要なの❔

では、なぜ「歩留まり」は、重要なのでしょか?

考えれば当たり前のことですね。

 

どれ位出来たか、どの程度の割合で出来上がったかを示す言葉ですから

製品などを製造する上では、「良品率」と同じ意味合いであることより

如何に出来高を高く、沢山の良品を製造できるかを示す指標となります。

 

forklift

 

「歩留まり」が高い、または高くなることは、それだけ沢山の製品が、

良品として仕上がるのですから、工場を管理・運営して行く上では、

より少ない材料で、製造工程への投入回数を少なくして、効率的に

製品を製造することができる訳です。

つまり、「歩留まり」は、工場の効率的な操業を上げたり、下げたり

することになるのです。

 

「歩留まり」の具体的な影響は❔

具体的なイメージを挙げて見ましょう。

 

■歩留まり:50% ・・・製品2個分を投入しても1個しか良品が取れない!

 

これを仮に「歩留まり」100%と比べると・・・

 

・資材投入量:2倍(= 直接材料, 間接材料 等)

・製造投入量:2倍(= 人, 設備 等)

 

実際は、上記の様に単純な比較とはなりませんが、ただ言えることとしては、

工場の効率は、「歩留まり」が低下すれば大きな影響を受けるということです。

 

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「歩留まり」の改善❕

そこで、常に工場 (ものづくり部隊) が取り組むことは・・・

 

■「歩留まり」改善・・・です!

 

主に製造部門と技術部門が、「歩留まり」に影響を及ぼしている

不具合要因に対して、製造プロセスや作業方法を見直し、更には

材料の変更も行なって、不具合の低減撲滅を目指す活動・取組み、

いわゆる「改善活動」です。

 

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ただ、その「改善活動」は、簡単に効果が上がり「歩留まり」向上へ

寄与することは少なく、幾つもの改善策や何回もの試行錯誤を繰返す

ことが殆どであり、期間を要することになります。

 

例え失敗に終わっても、その「改善活動」の取り組みの中で得られた

結果をしっかり検証して次に活かして行く・・・"PDCA" の連続です。

(今更ながら・・・* PDCA : PLAN → DO → CHECK → ACTION )

 

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「歩留まり」100% ❔

「歩留まり」を簡単に上げる (向上させる) 策が、一つあります。

それは、選別基準・規格の緩和や廃止です。

 

「歩留まり」は、決められた基準や規格の上で良否を判断すること

により生まれて来ますが、もし、その基準や規格が無ければ当然、

何もかもが良品となり、「歩留まり」=100% となります。

 

ただ、これは現実的には、あり得ないですね。

製造する製品が、市場で使われる上に於いては、要求される機能

性能があり、これに対して必要な基準や規格が求めれれます。

それを逸脱した製品では、お客様から「欲しい」と言ってもらえず、

無用の産物になってしまいます。

 

その要求に対しては、お客様より要求される基準・規格を基にして

製品の品質 (機能・性能) を検査するための社内管理として基準や

規格を設定することは、必要不可欠であり、大事なことになります。

 

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これより、やはり「歩留まり」は、有って然りのものですね。

「歩留まり」と生産性向上

前述した様に「歩留まり」は、効率的な製造を行なう上では、非常に

重要な指標であり、この改善・向上は、主に製造部門と技術部門では

永遠の取り組み・活動になります。

 

それにより、「製品原価の低減」にも寄与するものであり、工場での

効率的な運営もですが、会社に於ける利益向上にも繋がって行きます。

 

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「歩留まり」という言葉、"ずしっと" 重く圧し掛かって来る言葉ですが、

何にも増して重要に捉え、かつ意識しておく大切な言葉ですね。

 

以上、取り留めもなく綴って来ましたが、これにて蘊蓄を終わらさせて

いただきます。