3Hって何?

品質とはコスパである

品質とはコスパである
現在の私は品質保証という仕事をしていますが、前職は日本語の教師でした。
大学は文系ど真ん中の文学部。なぜ品質保証なのか・・・自分でもわかりません。
そんな私が思う品質保証とは。。。

目次

① 「品質がいい」とはどういうことでしょうか。
② 「QCD」
③   ①と②を踏まえて「品質保証」とはどういうことでしょうか。
④   最後に

①「品質がいい」とはどういうことでしょうか。

一言で言うなら、「お客様が満足すること」です。

弊社は電子部品の製造業なので、言葉を足すとすれば「製品特性がお客様の期待する特性を満足すること」という定義になるでしょうか。
お客様が満足すれば「品質がいい」、満足しなければ「品質が悪い」と言われます。
たとえ全くの同じ製品だとしても。
同じ味の料理でも味が薄いと感じる人もいれば濃いと感じる人もいるのと同じです。

②「QCD」

顧客満足の要素として「QCD」があると言われます。

Q・・・Quality=品質
C・・・Cost=値段
D・・・Delivery=納期

人によって、また、同じ人でも時と場合によって求める要素の優先度が異なります。
とてもお腹が空いている時にコンビニがあればコンビニのおにぎりでも満足を得られるでしょうが、「今日はいいものを食べよう」と思ってコンビニのおにぎりを買いに行く人はなかなかいないでしょう。

思い出の料理のイラスト

③  ①と②を踏まえて「品質保証」とはどういうことでしょうか。

「品質」の保証なのだから、①でいう特性が非常に高い製品を出荷しさえすればよい、と考えることもできます。要求レベルの一番高いお客様に合わせておけば、要求レベルの低いお客様の要求も当然満足できる、という「大は小を兼ねる」的な考え方です。
「特性」という点だけを考えればこの「大は小を兼ねる」は間違いではありません。
どこに問題があるのでしょうか。

それは、②のC(値段)とD(納期)が非常に悪いという点です。
最高レベルの要求に合う製品は製造した1000個中100個しかないとします。(歩留まり10%)
通常レベルでよいなら1000個中900個。(歩留まり90%)

(例えば)
お客様から500個の注文が入ったとしましょう。
最高レベル品を500個出荷するためには5000個製造しなければなりません。

それに対し通常レベルの場合、1000個製造すれば出荷する500個が確保できるばかりでなく、次の注文が来た時に出荷できる400個を在庫に持つこともできます。
歩留まりが何%であろうと1000個の製造にかかる時間自体は同じです。つまり、最高レベル品は通常レベル品と比べ500個出荷のために最低でも5倍の製造時間と当然ながら5倍の材料がかかるわけです。(実際には厳しい検査等、様々な点で時間・労力がかかります)

結果、最高レベル品の販売価格は通常品に比べ、最低でも5倍になるでしょうし、顧客の手元に届くまでに時間もかかります。
通常レベルの製品でいいと思っている人がそんなものを買うでしょうか?

QCDを顧客視点での時間軸に並べるなら、「価格」と「納期」に対する満足があって初めて購入をしてもらえ、「特性」が満足されるかどうかを判断されるのは、その後という順番になります。
購入してもらえないのなら、特性の満足もへったくれもないのです。
(一方、製造者側の時間軸にすると「特性」が先で、「価格」と「納期」は後です。「価格」と「納期」は「特性」をどのレベルに設定するかによって決まるためです。)

最初に書いた「品質がいい」の定義をもう少し補足するならお客様に製品を購入してもらえその上で製品特性がお客様の期待する特性を満足する」ということになります。
つまり、「品質保証」にはお客様に選んでもらえる「価格」と「納期」も含まれるということです。
最近の言葉で言うなら「コスパがいい」になるのだろうと思います。

④ 最後に

人の味の好みが千差万別であるように、お客様の要求・要望も千差万別です。
それぞれのお客様に向き合い、要望を理解し、その要望を満足させる製品を出荷する。
そのためには、お客様に一番長い時間を接する営業部門はもちろんのこと、歩留まりを高めるために技術部門、実際に作業を行う製造部門等、多くの部門との連携が必要になります。

それぞれの部門にそれぞれの立場や考え方があるので、喧々諤々とすることもありますが、最後には同じゴールを目指して頑張ります。これら全ての行動が顧客満足=品質保証につながっています。